J2リーグ分析【徳島 vs 京都】 〜 ウイングの存在意義 〜

関わる選手(育成出身選手など)が所属するクラブの試合だけ分析するシリーズ。今回は徳島vs京都です。J2も一昔前に比べて質の高いサッカーをするクラブが増えてきた印象です。早速簡易分析へ。

WU分析

やりたいこと・やるべきこと・やれたこと

両リームとも3バックのビルドアップ型サッカー。どちらが主導権を握っていたかと言えば、京都だったと言えます。特に顕著に現れたのは、両チームがしっかりプレスを掛けにいった時だったと思います。

苦しい徳島のビルドアップ

徳島が苦しむのは、相手のプレスが効いている時のビルドアップでの出口戦略。何度かワントップやシャドーを起点に剥がせる場面もありましたが、基本的には京都に回収され続けていた印象。

ビルドアップ型サッカーを目指す両クラブが、何を目的にビルドアップを活用しているのかが伝わってくるシーンがいくつか見られました。

京都の両翼の存在感

一方で、同じビルドアップ型サッカーでも京都の特徴が現れていたのが両翼(ウイング)の選手。個でも剥がせる能力に徳島も脅威を感じたのではないでしょうか。両翼が良いから押し込めるし、両翼が良いからプレスにもハマらない。現代もしくは次世代型サッカーにおいて、攻守の主導権を握るのはこの両翼になっていくのではという仮説も立ちます。

けれどサッカーは点取ゲーム

けれども、徳島の武器も炸裂し、結局スコアはドローへ。一発のあるFWはプロの世界において最大の武器になります。国内でも国外でも、このポジションの選手スカウトは最重要とするクラブも多いでしょう。

どれだけ良いサッカーをしても、どれだけ主導権を握れても、どれだけ素晴らし価値観でも、肝心の勝ち点を取れなければ「結局は理想論」として歴史からは消えていくことになるのは厳しいサッカー界の常です。

両チームの今後の成長に期待したいです。

勝負の差

今回のゲームはドローでしたが、支配率の差を分けていたのは京都の両ウイングと3バックの真ん中の選手だったのかなと感じました。ビルドアップ型サッカー同士の対決では、互いのストロングポイントをどう活かすかが重要になってくるという、非常に分かりやすい好ゲームだったと思います。

【分析・研究者プロフィール】 
岩崎 勇一郎
現 国学院久我山高校サッカー部 指導者・選手スカウト / 元早稲田ユナイテッド監督(U-12・U-15・トップチーム) / 選手スカウトとしてFC琉球のJ2昇格(2018年)を経験。2020年からJFL FC大阪のプロ契約選手スカウト(関東エリア担当)へ就任 / 工学博士 / 指導者・選手・スカウト経験値から語れるゲーム分析がモットー

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